交通事故に健康保険を使う裏技と2つのメリット
交通事故でケガをしたとき、「健康保険は使えない」と誤解されている方は少なくないようです。
理由は「自賠責保険・任意保険で治療費を支払うため」と認識している、または「保険証は使えないと病院で言われた」と言った事が多いようです。
この記事の目次
交通事故のケガで健康保険を使えるか
結論から言うと、交通事故によるケガも「第三者行為による傷病届け」という申請書類を提出して手続きをすれば、健康保険は使えます。
被害者の立場で言えば「自分は被害者だから治療費は加害者が払う」と思う方が多いと思います。
しかし被害者が安心して治療に専念するためには、治療費の負担の問題が解決されなければなりません。
実は治療費負担は、健康保険を使用するかどうかによって大きな違いがあります。
病気や怪我の治療には、健康保険を使用していますよね？
この場合の治療費は、自己負担分と国民健康保険や勤務先の組合健保などが、診療報酬の点数によって算出された金額を医療機関に支払います。
社会保険と国民健康保険の場合は、1点につき10円です。
一方、交通事故による怪我の治療では、医療機関は健康保険よりも自由診療が出来る自賠責保険・任意保険を使いたいようです。
それは一体なぜでしょう？
それは社会保険、国民健康保険を使用した場合より多く費用請求ができるからです。
医療機関が自賠責保険や任意保険を使いたい理由
利益が多い。
健康保険の診療報酬は上記で述べたように1点10円、一方、自由診療では患者と自由に1点当りの単価を設定できるのです。
20円～25円くらいが多いようですが、同じ治療内容でも健康保険に比べ、倍以上の利益が出るからです。
その他にも「健康保険だと治療内容に制約がある」や「健保事務所が加害者から回収できるまでに時間がかかる」等の理由はありますが、医療機関から何の説明もなく「健康保険は使えない」と言われた場合、その病院は「親身になってくれる病院ではない」言えるでしょう。
実際に旧厚生省からは、40年以上も前に「交通事故でも公的医療保険が使える」通達が出されています。
健康保険か自由診療のどちらで治療してもらうかは、あくまでも健康保険の被保険者である患者が決めることですから、病院の言いなりになる必要はありません。
健康保険を利用するメリット
健康保険を利用した場合は、以下のようなメリットがあります。
(1)自分にも事故の過失がある場合
被害者は過失相当部分の治療費を自己負担する事になりますが、健康保険を利用すれば負担が軽くなります。
(2)相手が任意保険に加入していない場合
健康保険を利用すると自由診療に比べて治療費が安くすみます。
相手が任意保険に未加入で自賠責保険しか使えない場合には、ケガによる損害の限度額は120万円までです。
健康保険を使うことで相手への請求に余裕が生じるため、休業補償や慰謝料などの支払いを受けられる可能性があります。
なお、健康保険や労災保険が医療機関に支払った治療費などは、健康保険組合などから加害者に求償されることになります。
被害者の場合は「第三者行為による傷病届け」を健康保険組合などへ提出しておく必要がありますので、不明点があれば自分が加入している健康保険組合などに問い合わせてみましょう。
健康保険を使えない場合
以下の場合は健康保険を使えません。
(1)業務中に起きた交通事故
通勤途中や仕事で運転していた場合の「業務上の災害」は、労災保険が適用され健康保険は使えません。
(2) 法令違反による交通事故
当然ですが無免許運転や飲酒運転など、法令違反行為によって負ったケガには使えません。
(3) 第三者の行為による交通事故
事件や事故で自分以外の誰かに傷つけられた場合には使えません。
交通事故は(3)に当てはまりますが「第三者行為による傷病届け」という申請書類を提出して手続きをすれば、ちゃんと健康保険は使えます。
ですから、病院の会計職員が自由診療の請求書を持ってきた場合、「第三者行為による傷病届けを提出しますので、保険適用をお願いします」 と言えば大丈夫です。
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